きわ。

書き残したいこと でもすぐに削除はする

「南佳孝 松本隆を歌う」を聴く② 月に向かって 全部じゃん。

最初に告白する。

 

南佳孝さん「月に向かって」

この松本隆を歌うシリーズを聴くまで人気楽曲であることは知ってはいたが、わたしは実は熱い思い入れがなかった。そこにヒリヒリするような強烈なシーンが繰り広げられるものでもなく、カウボーイが顔を帽子で覆って寝転ぶような休息のイメージ。オリジナルはアルバム「MONTAGE」1980年。すまんけどこのアルバムの中では、ちょっとひと休みしようか、な位置だと思い込みが間違い。

 

間違い。気づいたのは22年9月の心斎橋ライブだ。シリーズ1回目。

 

ポロポロポロ。鱗が落ちるSE。

 

これ以前のあれや、後々のあれや、これや。全部じゃん。因数分解するのにもってこいな松本作品だ。「スローなブギにしてくれ」のワールドワイド門戸から、この楽曲に飛ぶと佳孝作品を論じる角度もありありのありだ。

なるほどなあ。この歌詞に出るアイテムは、のちのちの「あの歌」「あの別れ」「人生観」じゃないの!というのも、現在の南さんが歌っているからわかること。お二人の領域。美しい域。

この歌のリリース時点で、松本さんの生き方が垣間見えブレてない確認。引き算検算を何度もしても43年前ですか、そうですか。

 

総括 かっこいい。

 

 

「生きのびちまった」至高のハードボイルドなセリフ。のびちまった、がひらがななのが良い。ほんとにため息まじりの本音に感じるから。佳孝さんの歌唱で、松本ファンは勝手に松本さんの本質を探す(回答は知らない)(それがファン)ことが、んっっとに楽しみなのである。それは79年ごろから。生きのびちまった。このさきずっと歌い続けてほしい。ずっと歌い続ける「先」にまた新たな発見があるに決まっているから。南さんの歌唱がもうドラマなんだもの。いろんな「気づき」をしたいし、その度に「わー!やられた!かっこいい」と叫びたいのだ。

 

背景は南画伯の直筆の絵画作品。ブルックリンパーラーの方に「これは直筆ですか」と尋ね「はい」とのこと。一筆めがココカ?などとディスクリプションする時間もしあわせ。